現在地はHOME  ディスコ キャリタスリサーチ コラム 調査データで見る「内定者フォロー」2017(2017年5月発行)

調査データで見る「内定者フォロー」2017(2017年5月発行)

売り手市場が続く中、企業が前年よりも選考時期を前倒しする動きが広がっている。内定出しの時期が早まれば、内定後のフォロー期間は長期化する。一方、広報開始から選考までの期間が短く、企業理解が深まらないまま内定を手にする学生の存在も指摘され、内定後のフォローアップは重要さを増している。
そこでディスコでは、今春入社者に対して実施された内定後フォロー等に関する調査データをもとに、企業・学生双方の立場から見た内定者フォローの実態や影響についてまとめた。
調査概要

[1] 内定者の企業理解促進への取り組み/企業調査

最初に企業側への調査データを紹介したい。今年2月に、2017年卒の内定者へのフォローについて調査したところ、「フォローを実施した」という企業は全体の98.3%に上った。
また、内定者の企業理解を促進する取り組みを実施している企業は8割強に上り(87.6%)、4社に1社は「例年以上に力を入れた」と回答した(24.0%)。より理解を深めてから入社してもらいたいと考える企業が多いことがわかる。

内定者の企業理解促進への取り組み/企業調査

[2] 内定者をフォローする上での悩み/企業調査

内定者をフォローする上で悩んでいることを尋ねた。
最も多くの企業が選んだのが「スタッフの不足」(46.0%)。内定者のフォローは次年度の採用活動準備やインターンシップとも時期が重なるが、同じスタッフが並行して行うなど、マンパワー不足を課題とする企業が多いのだろう。「内定者のニーズの把握」(40.3%)がこれに続く。
全体的に前年度調査よりもポイントが増加しており、悩みが増えていることがわかる。学生のニーズを把握し、効果的な取り組みを行いたくても、人手が足りず余力がないといった事情がうかがえる。

内定者をフォローする上での悩み/企業調査

■内定者フォローで取り組んでいる施策など

○ありのままの会社を見せる。社内見学や先輩社員など、優秀な人材をピックアップせず、ランダムで参加してもらっている。<自動車・輸送用機器>

○メールよりも電話で話をするように心掛けている。<電子・電機>

○業界紙に当社の記事が掲載された場合、本人へ郵送している。入社前準備特集等の新聞記事も、本人へ郵送している。<鉄鋼・非鉄・金属製品>

○今期は初めて親御さん宛に内定式の写真をお送りした。<建設・住宅・不動産>

○内定者および人事担当者でLINEのグループトークを設け、自由に話ができる環境をとっている。<専門商社>

○自社工場の見学ツアーを取り入れている。内定者が一緒に移動することで連帯意識を持たせるように工夫している。<精密機器・医療用機器>

○新聞や書籍を読ませ、感想文やテストを実施することで、社会人に必要な文章力や洞察力を養う、など。<専門商社>

○週に1回のモチベーションメールを実施して、入社までに社会人としての考え方や人生においての成功法則をお伝えしています。<電子・電機>

○お知らせ等は保護者の方の目につくようになるべくハガキで送付します。<建設・住宅・不動産>

[3] 内定後のフォローやアプローチ/学生調査

ここからは学生側の調査データを確認して行こう。
入社を間近に控えた学生に、就職決定企業から内定期間中に受けたフォローの内容を尋ねたところ、最も多いのは「内定式」(81.8%)だった。これに「社員との懇談会」(60.3%)が続く。
実際に受けたフォローのうち入社意欲が高まったものを選んでもらい、入社意欲向上への寄与度を算出してみた。これによると、入社意欲の向上に最も繋がったフォローは「社員との懇親会」(62.4%)で、2位が「内定式」(58.5%)。どちらも経験者の多いメニューでもある。一方、入社意欲向上への寄与度が3位の「社内や施設などの見学会」は、実際に経験した学生は2割あまりにとどまっている(26.3%)。こうした機会を設けていない企業は検討の余地がありそうだ。内定承諾の返事を迷っている学生の背中を押す効果もあるかもしれない。

■入社意欲が高まったエピソード、シチュエーション

○内定式で社長が話をしてくれた際、入社意欲が高まりました。<文系男子>

○内定式で社員の方になんでも質問できる時間があり、配属や内部事情なども質問できて安心できた時。また、内定者同士が仲良くなるためのアイスブレイクの時間があり、打ち解けることができた時。<文系女子>

○配属先の社員懇談会に呼ばれ、自身の内定理由と今後したいことができるのかを聞く機会があったことで、入社意欲がわいた。<理系男子>

○入社1〜2年目の社員と飲んだ時に、楽しそうに仕事のことをしゃべっている姿を見て入社意欲が高まった。 <文系男子>

○業務時間中の社内の様子を隅々まで見学させてもらった。また、内定承諾時、内定承諾後にも悩みや不安がないか何回も聞いてもらった。<文系女子>

○社内における優秀社員への表彰式があったのですが、それに参加させていただき、その際の規模感と熱狂度にモチベーションが上がりました。<文系男子>

○内定先企業が出展するイベントがあり、「予定が空いている人がいれば来てください」というメールが来たので内定者で集まって見学に行ったら、ブースにいた社員の方がすごく喜んでくれたこと。<文系男子>

○社内報を受け取ったことで、社員の一員として考えてもらえていると感じることができた。<理系男子>

○課題が配布されたこと。教育がしっかりしていると思った。<理系女子>

[4] 内定後に出された課題や研修/学生調査

就職決定企業からどんな課題や研修があったかを尋ねた。
まず、形式として最も多いのは「通信教育(e-Learning含む)」で43.7%。企業にとって時間やコストの面でメリットが大きい点が魅力であり、導入しやすいのだろう。学生側も「卒論で忙しい時期に本社へ出向くのは負担だった」といった声もあり、自分の都合に合わせて取り組めるスタイルは一定の支持を得ている。
2〜4位はポイントが近く、「近況報告などレポートの提出」(25.3%)、「集合型の入社前研修」(24.7%)、「課題図書、新聞の定期購読」(24.0%)の順。
「あてはまるものはない」つまり、課題を課されなかった学生は2割あまりで(23.1%)、残りの8割近くは何らかの課題・研修を受けていた。

内定後に出された課題や研修/学生調査

[5] 課題や研修の学習内容/学生調査

就職決定企業から課された課題・研修の学習内容(分野)についても見てみよう。最も多いのは「ビジネスマナー」(56.8%)で、他に「社会人としての心構え」も半数を超えている(53.5%)。「資格取得・業界特有の専門知識」は4割強(42.0%)だった。
学習内容については、実際に受けたもののうち「よかったと思うもの」を選んでもらい、割合を算出した。最も高いのは「資格取得・業界特有の専門知識」で、受けた人のうち約8割(78.4%)が受けてよかったと答えた。内定先の業界や職種によって、簿記、宅建、プログラミング言語など多岐にわたるが、比較的時間のある入社前に取り組めたことを前向きに捉える学生が多かった。
なお、入社前教育は内定者に強制できるものではないので、参加や受講はあくまで内定者の意思に基づかなければならないことを忘れないようにしたい。

課題や研修の学習内容/学生調査

[6] 内定後のフォローや課題への負担感/学生調査

就職決定企業からの内定後のフォローや課題に対し、学業の負担に感じることがあったかどうかを確認してみた。「かなり負担に感じた」(7.3%)と「やや負担に感じた」(22.0%)を合わせると29.3%となり、約3割が負担を感じていた。文理別に見ると、卒業研究や修士論文等で多忙な理系のほうが負担に感じる学生がやや多かった。
 負担に感じた理由としては、課題のレベルや分量に対する意見のほか、スケジュール調整に関する不満も見られ、「せめて早めに予定を教えてほしい」「卒論が佳境となる時期はやめてほしい」といった声があった。
 2ページで確認した企業調査の結果(内定者をフォローする上での悩み)で、「学業との兼ね合い(時期、頻度など)」は3番目に多くあがっていた。入社が決まっていると言っても、学生の本分は学業であるので、内定者に負担を強いることのないよう配慮が必要だ。