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外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査−2016 年11 月調査

高度な専門的知識や技術を有する高度外国人材の受入促進・定着率向上は、今や我が国の成長戦略の重点課題の1 つ。日本企業には、国際競争力強化のため、国籍に関わらず多様な人材の活用が求められている。そんな中、企業は実際にはどのように外国人社員の採用を行っているのだろうか。ディスコでは全国の有力企業を対象に、日本の大学または大学院に留学する外国人留学生の採用を中心に、日本で勤務する高度外国人材(大学卒以上)の採用動向や活用状況を調査し、分析した。

1.外国人留学生の採用(新卒)
[1] 外国人留学生の採用状況
[2] 外国人留学生の採用規模と属性
[3] 外国人留学生の配属先と、就いた職種
[4] 外国人留学生を採用する目的と、求める資質
[5] 外国人留学生に求める日本語力
[6] 外国人留学生の出身国(地域)
[7] 外国人留学生の離職率と内定フォロー
[8] 外国人留学生を採用したことによる社内への影響

2.海外大学卒の外国人材の採用(新卒・中途問わず)
[1] 海外大学卒の外国人材の採用状況
[2] 海外大学卒の外国人材の出身国(地域)
[3] 海外大学卒の外国人材に求める日本語力

3.外国人社員共通
[1] 外国人社員の受け入れと採用活動の課題
[2] 外国人社員の退職理由と活用課題

企業Voice

gaiyou

◆本資料に関するお問い合わせ先 : 03-4316-5505/株式会社ディスコ キャリタスリサーチ

1.外国人留学生の採用(新卒)

[1] 外国人留学生の採用状況
調査に回答した企業のうち、大卒以上の高度外国人材の雇用経験をもつ(または雇用予定のある)企業は61.7%。そのうち2016年度(2016年4月〜2017年3月入社)に外国人留学生を「採用した」企業は、予定を含め全体の38.1%。また、2017年度(2017年4月〜2018年3月入社)の採用を見込んでいる企業は59.8%に上る。
従業員規模別に見ると、2017年度の採用見込みは、すべての規模で2016年度の採用実績を上回り、特に1000人未満の中堅・中小企業において伸びが大きい。高度外国人材の採用は企業規模に関わらず、一般化してきた様子が見て取れる。
また、製造業・非製造業別で見ても、両者とも採用見込みが実績を上回る。2017年度の採用を予定している企業は、製造業55.6%、非製造業63.7%と、非製造業においてより採用意欲が高い。
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[2] 外国人留学生の採用規模と属性
2016年度に外国人留学生を採用した企業に採用実績を尋ねた。採用人数の分布を見ると、「1名」という企業が過半数を占め(54.2%)、「2-3名」(26.2%)とあわせると、全体の8割(80.4%)が3名以内に収まる。平均人数は2.59名。従業員規模が大きくなるにつれ採用人数も増えるが、300人未満の中小企業が2.03名、1000人以上の大手企業で3.00名と、大きな差は見られない。
最終学歴を見ると、文理とも学部卒の採用が多く、「文系(学部卒)」57.9%、「理系(学部卒)」29.9%。修士課程・博士課程で減少傾向が目立ち、高度外国人材の採用が一般化してきた影響と見られる。
今後の募集・採用については、全体の8割(80.8%)が、「国内の日本人学生と同じ枠で募集・採用」と回答し、別枠での採用(一部別枠含む)は2割程度(19.2%)。
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[3] 外国人留学生の配属先と、就いた職種
2016年度に新卒採用した外国人留学生の配属先について、「日本での勤務」と回答した企業は87.9%。日本勤務の割合は年々増加しており、2014年度(74.7%)に比べ13.2ポイント増えた。代わりに「日本での勤務だが将来は海外を予定」という企業が減少し、この2年で26.4%から13.1%へと半減した。外国人留学生に日本国内での活躍を期待する企業が増えていることがわかる。
2016 年度に採用した外国人留学生の就いた職種について見てみると、製造業では「研究・開発・設計関連」が最も多く、38.6%と集中している。「事務・管理関連」25.0%、「海外営業関連」22.7%と続く。非製造業では「IT・ソフトウエア関連」27.3%と「流通サービス・販売関連」25.8%の2つが多い。IT技術者の人材ニーズが依然強いことに加え、流通業などでのインバウンド対策による需要増を反映した結果と言える。
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[4] 外国人留学生を採用する目的と、求める資質
外国人留学生を採用する目的を尋ねた。文系・理系ともに「優秀な人材を確保するため」が最も多く、それぞれ64.1%、69.9%。文系は「語学力が必要な業務を行うため」(42.0%)が続き、理系は「外国人としての感性・国際感覚等の強みを発揮してもらうため」と「日本人社員への影響も含めた社内活性化のため」(ともに34.9%)が続く。
外国人留学生に求める資質については、文系・理系とも前年同様「コミュニケーション能力」が1位(文系57.1%、理系48.5%)、「日本語力」が2位(文系46.7%、理系46.2%)だった。
優秀であるのはもちろんのこと、外国人である強みを活かしつつ、日本語でのコミュニケーション力を発揮できる人材を求めていることが読み取れる。
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[5] 外国人留学生に求める日本語力
企業は外国人留学生に対し、どの程度の日本語コミュニケーションレベルを求めているのだろうか。文理別に内定時と入社時に分けて尋ねた。
内定時にビジネス上級レベル以上(レベルの目安は下表参照)を求める企業は、文系48.4%、理系43.8%だった。これが入社後には文系81.5%、理系76.4%と大きく増える。採用時すぐに必要というわけではないが、入社後に仕事を進める上でかなり高い水準の日本語力を求める企業が多いことがわかる。採用時にJLPT(日本語能力試験)の基準を設けている企業は半数(54.3%)にとどまるものの、多くの企業が入社後には幅広い場面での日本語による適切なコミュニケーション力を求めており、外国人留学生にとってそのハードルは決して低くないと想像できる。
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[6] 外国人留学生の出身国(地域)
外国人留学生の出身国(地域)を、2016年度の実績と今後に分けて尋ねた。2016年度の実績が圧倒的に多い「中国」(71.8%)は、今後については48.3%にとどまり、ニーズに一服感が見られる。一方「東南アジア」は、2016年度実績は23.6%だが、今後採用したいと回答した企業は75.2%に上る。
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[7] 外国人留学生の離職率と内定フォロー
外国人留学生の入社3年後の離職率を日本人の新卒者と比較して回答してもらった。規模が大きい企業の方が、日本人よりも離職率が高いと回答した企業が多く、従業員数300人未満の企業では「高い」が1割未満(7.7%)だが、1000人以上の企業では3割強(32.3%)に上る。
内定後のフォローの方法を見ると、従業員数300人未満の企業では「日本人と異なる方法」が32.3%なのに対し、1000人以上の企業では9.3%にとどまる。外国人留学生に特化したフォローにより、入社時の不安軽減や組織への順応が促されることで、早期離職の抑制に繋がっている可能性がある。
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[8] 外国人留学生を採用したことによる社内への影響
外国人留学生の採用実績のある企業に、採用したことによる社内への影響を尋ねた。
好意的な影響として多くの企業が選んだのは、「日本人社員への刺激・社内活性化」「異文化・多様性への理解の向上」で、ともに7割近い(それぞれ68.6%)。
一方、外国人留学生を採用することにより社内で起きた「問題」としては、「言葉の壁による意思疎通面でのトラブル」が最も多く(59.0%)、「受け入れ部署の負担増」47.4%、「文化・価値観、考え方の違いによるトラブル」46.2%と続いた。前年調査と比べ、言葉の壁や考え方の違いによるトラブルは減少したものの、受け入れ部署での負担が増加した。「問題」に対しては、部署単体にとどまらず、組織全体で向き合い、解決に向けて取り組む必要があるだろう。
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2.海外大学卒の外国人材の採用(新卒・中途問わず)

[1] 海外大学卒の外国人材の採用状況
ここからは、海外大学を卒業した外国高度人材の採用状況について見ていく。
外国人社員の雇用経験をもつ企業のうち、「2016年度に採用した」と答えた企業は18.9%。2013年度から増加傾向が続いていたが、2015年度(22.8%)より3.9ポイント減少した。2016年度は国内学生の採用スケジュール大幅繰り下げにより、企業の負担が増したことなどが影響し、海外大卒の外国人材の採用が一時的に鈍化したものと推測される。
実際、2017年度の採用見込みについては「採用予定あり」が32.0%と、2016年度実績を大きく上回っていることからも、海外大卒の外国人材の採用意欲は高まっていることがわかる。
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[2] 海外大学卒の外国人材の出身国(地域)
海外大学卒の外国人材の出身国(地域)について、今後重視する順に5つまで選んでもらった。「東南アジア」が最も多く75.6%、前年調査(68.0%)より7.6ポイント増加し、前々年調査(50.7%)と比べると24.9ポイント増加している。一方、「中国」は35.9%で、前年調査(42.0%)より6.1ポイント減少し、「東南アジア」との差が広がった。「北米」「ヨーロッパ」も前年調査より減少しており、海外人材へのニーズは「東南アジア」への集中度合いが一層高まっている様子がわかる。
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[3] 海外大学卒の外国人材に求める日本語力
海外大学卒の外国人材にどの程度の日本語コミュニケーション力を求めているか尋ねた。内定時にビジネス上級レベル以上(レベルの目安はP6表参照)を求める企業は、文系44.7%、理系35.6%と4 割前後。入社後には、文系70.2%、理系61.5%と大きく増えている。日本の大学への留学生だけでなく、海外大学卒の外国人材に対しても、かなり高い水準の日本語力を求める企業が多いことがわかる。
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3.外国人社員共通

[1] 外国人社員の受け入れと採用活動の課題
最後に、外国人社員の受け入れのために行っていることや、さまざまな課題、定着に向けての処方となるデータを紹介したい。
まず、外国人社員受け入れのための社内的な取り組みについて尋ねた。「いずれも実施しておらず、実施予定もない」が40.2%、「いずれも実施していないが、今後は実施したい」が31.4%と、合わせて7割を超える企業(71.6%)が社内的な取組みを行っていなかった。実施している取組みで最も多いのは、「外国人社員への日本語コミュニケーション力の研修」で13.7%。
外国人社員の採用活動における課題としては、「社内の受け入れ体制が未整備」が47.3%、「優秀な学生の能力判定が難しい」が30.2%、「求める日本語コミュニケーション力を有する人材が少ない」が27.2%だった。外国人社員の採用のすそ野が広がったとはいえ、企業としてはまだまだ手探りで採用活動を行っているようだ。
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[2] 外国人社員の退職理由と活用課題
雇用していた外国人社員の退職理由を尋ねてみた。最も多かったのが「母国へ帰国するため」(49.1%)で、続いて「キャリアアップのため」(35.8%)が挙がった。従業員規模別で見ると、大手企業では「キャリアアップのため」が42.5%にのぼり、中小企業(28.2%)とは大きく差が開いた。(巻末付表参照)
外国人社員の活用のための課題としては、「海外人材を活用できる日本人管理者の不足」が40.4%、「社内での日本語コミュニケーション力の不足」が32.8%、「キャリア形成の考え方の乖離」26.8%。外国人社員を定着させ、さらに活躍してもらうためには、企業と彼らの双方が納得できるキャリアパスを設定することが欠かせないと言える。
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企業Voice 

【Voice-1】――外国人留学生採用による社内への好影響
○外国籍社員が同じ職場で働くことで、日本独自の文化・慣習においてグローバルには通用しないものが明確になってくる。海外拠点を含めて優秀人財がどこでも活躍できる職場環境を作るための一助になっていると考える。<自動車・輸送用機器/大手>

○社としてグローバル化を進めており、社内に外国籍社員がいるのが当たり前という感覚になってきた。海外の文化や宗教、情勢にも興味を持つ社員が増えた。<情報処理・ソフトウエア/中堅>

○レポート等非常に詳細なものを作成してくれたことで、それを見た日本人も刺激を受けモチベーション向上に役立っている。<建設・住宅・不動産/中堅>

○ITリテラシーが日本人社員よりも高いため、プレゼン資料などの質が向上している。<商社(専門)/大手>

○外国人部下を持つ日本人上司の意識変化。<自動車・輸送用機器/大手>

○総じて、日本人よりバイタリティがあり、営業活動における成果や社内活性化が見られる。<商社(専門)/中堅>

○他の新入社員が英語を勉強するようになった。<素材・化学/大手>

○中国との取引では英語が使えず現地語での交渉が必要となるが、通訳ではなく、企業の商流、製品知識、関係する多岐にわたる人脈を持った社員が交渉することにより、より良い関係を築くことができている。<自動車・輸送用機器/大手>

【Voice-2】――外国人留学生採用による社内トラブル
○トラブルとまではいかないが、社内でのコミュニケーション(文章に起こす、会話)が不十分なため、手間がかかる。<商社(専門)/中堅>

○本人も自覚があるものの、敬語が苦手でクライアント先に連れて行きづらい、など。<調査・コンサルタント/中小>

○的確な言葉で商品を説明できない。インバウンドの売上が期待できる旧正月に長期休暇を希望する。<専門店/大手>

○日本語での意思疎通が想定以上に困難であった者がいた。<ホテル・旅行/大手>

○言葉や文化の違いから、日本人には教えていないことまで指導する必要がある。<建設・住宅・不動産/中堅>

○面と向かったコミュニケーションには問題がないが、配属されたばかりの時に電話応対で聞き取りができず(会社名や所属)、本人が悔しさのあまり泣き出してしまった。やる気があるので、電話に出なくてもいい とは言えず、個別に電話での聞き取りの練習を所属で行った。<自動車・輸送用機器/大手>

【Voice-3】――外国人留学生の内定後フォローについて
○先輩外国人社員との食事会を実施しました。<情報・インターネットサービス/中小>

○敬語や日本的ビジネスマナーの理解に関する面談やトレーニング。<調査・コンサルタント/中小>

○skype面談、日本語研修など実施しました。<情報処理・ソフトウエア/中小>

○現地(ベトナム)に家庭訪問し、家族を引き込み、内定留学生の囲い込みをした。<運輸・倉庫/大手>